うつ病になってから、いちばん困っていたのは、人に会うことでした。
知らない人よりも、知っている人のほうがこわい。
近所の集まりには妻に行ってもらい、友人との連絡もほとんど途絶えました。
役所の窓口で知り合いが働いていることに気づいてからは、自分の手続きさえ自分でできなくなって、これも妻に頼みました。
家から1歩出ると、誰かに会ってしまうかもしれない。
そう思うだけで、玄関で足が止まりました。
それでも、外に出なければならない日はあります。
そういう日、私はマスクと帽子を身につけて出かけるようになりました。
顔を隠すためです。
隠していれば、歩けました。
誰かとすれ違っても、目を合わせずに済む。
それだけで、用事を1つ片づけて帰ってくることができました。
マスクと帽子は、私にとって外に出るための道具でした。
人にきちんと会えるようになる日を待っていたら、外の空気を吸うのはずっと先になっていたはずです。
顔を隠したままでも、外に出られた日は、ちゃんとした1日でした。
もし今、人に会うのがこわくて玄関で足が止まっている方がいたら、隠したまま出てみる、という方法もあります。
