こんにちは。クロヒョウ先生@Webライターです!
本記事では、教員の退職金について、実際に教員を早期退職した、私の経験を元に解説します。
こんにちは!クロヒョウ先生@Webライターです。
クロヒョウ先生の自己紹介「教員の退職金の金額はいくら?」
「途中で教員を辞めても、退職金はもらえるの?」
「民間企業と比べて、教員の退職金は多い?」
という疑問を持っている方も多いと思います。
公立学校の教員は、公務員であり、しっかりとした退職金制度が確立されています。
定年退職での退職金の支給はもちろん、早期退職した場合でも、状況に応じた退職金が支給されます。
退職金の金額は、退職理由、勤続年数、退職時の月給などを元に、あらかじめ用意された計算式を用いて、算出されます。
計算方法については、記事内で詳細を紹介します。
また、教員の退職金は、民間企業と比べて高いのか?ということも気になることの1つだと思います。
教員と大企業の退職金を比較すると、金額に大差はなさそうですが、中小企業と比較すると、教員に軍配が上がりそうです。
本記事で、教員の退職金についての正確な知識を知り、早期退職の検討なども含め、戦略的に、今後の人生に活かしてもらえたら幸いです。
では、早速まいりましょう!
教員を退職すると、退職時までの勤続年数や退職理由などを元に、退職金が支給されるよ!
公立学校の教員(地方公務員)の退職金は、国家公務員の退職手当制度に準じて支給されることが以下の資料に記載されています。
【地方公務員の退職手当制度について】
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/komuin_taishoku/pdf/071221_1_si7.pdf
国家公務員の退職手当制度は、以下の通りです。
【国家公務員の退職手当制度の概要】
https://www.jinji.go.jp/shogai-sekkei/taite/1-1.html#
国家公務員の退職手当制度の概要を見ると、退職金の金額は、勤続年数、退職理由、退職時の標準報酬月額、調整額の4要素によって決定することが分かります。
4要素の詳細を、説明していくね!
勤続年数は、文字通り、採用から退職までの勤務した年数です。途中で自治体の変更などがあっても、通算して計算されるようです。
月単位で計算し、端数は切り捨てます。したがって、16年3ヶ月勤務した方の勤続年数は、16年になります。なお、月の途中での採用・退職は、その月を1月として計算します。
また、以下のような場合は、勤続年数から除算されるとのことです。
<期間の2分の1を除算するものの例>
・私傷病による休職、刑事休職及び研究休職(ただし、その内容が公務の能率的な運営に特に資すると認められる等の場合には除算されない。)の期間
・懲戒処分としての停職の期間
・育児休業の期間(ただし、子が1歳に達した日の属する月までの期間は3分の1を除算する。)
<期間を全て除算するもの>
・職員団体専従休職の期間
・自己啓発等休業の期間(ただし、その内容が公務の能率的な運営に特に資すると認められる等の場合には2分の1を除算する。)
・配偶者同行休業の期間
例えば、病気による休職を3年間取得した場合は、その期間の2分の1の期間が除算されるため、その期間に該当する退職金計算上の勤続年数は、3年(36ヶ月)→1年半(18ヶ月)という形になります。
また、育休については、子どもが1歳になるまでは3分の1除算、それ以降は2分の1除算になっている点も特徴的です。
国家公務員の退職手当制度において、退職金の金額を考える上での退職理由は、以下の4通りに分類されています。
①自己都合
②定年・応募認定退職・任期終了・事務都合退職・公務外死亡・通勤傷病等
③公務外傷病
④整理・応募認定退職・公務上死亡・公務上傷病
退職理由は、退職金の金額を算定する上で、自己都合、定年・応募認定、死亡、傷病、整理等に区分されています。死亡、傷病による退職については、公務上と公務外に、公務外の傷病による退職については、通勤によるものと私傷病によるものに区分されます。
それらの区分の結果、①~④までの4パターンに分け、退職金の金額の計算を行う仕組みになっています。
退職理由についての詳細説明は省略しますが、
①自己都合…個人的事情による退職
②定年…定年での退職
③公務外傷病…障害年金1~3級該当程度の傷病(うつ病など)で退職
の3つが、教員の退職理由になる可能性が高いのではないでしょうか。
③公務外傷病での退職については、聞きなれない言葉だったため、内閣官房などに、電話で問い合わせをしてみましたが、全国的に見ても事例は少ないそうです。
これは、知識的にも労力的にも、うつ病などの病気を患って休職し、障害年金の請求までたどり着ける人がほとんどいなく、自己都合退職という形をとることが多いことに起因しているようです。
障害年金の請求作業の知識面や労力面の困難さについては、過去記事をご覧ください。
うつ病で障害年金は受給できる?請求方法は?しかしながら、治療に長期間を要する“精神疾患”を患って、教員を休職・退職する人が増えている昨今、①自己都合・②定年での退職に加え、③公務外傷病による退職は、現在進行形で増えていく退職理由かもしれません。
これは、退職時の月給を元に決められる数値で、“退職時の月給とほぼ同値“と考えて差し支えないと思います。自治体ごとで、詳細が定められており、確定値が個人に与えられます。
調整額は、退職時までの貢献度に対して、退職金が上乗せされる金額というイメージのものです。
以下に、国家公務員の退職手当制度に記載されている、調整額の説明を抜粋します。
【国家公務員の退職手当制度より】
調整額は、在職期間中の貢献度に応じた加算額であり、基礎在職期間(退手法第5条の2第2項にある「基礎在職期間」)初日の属する月から末日の属する月までの各月毎に、当該各月にその者が属していた職員の区分(第1号区分~第11号区分)に応じて定める額(調整月額)のうち、その額が多いものから60月分の調整月額を合計した額です。
【退職手当の調整額区分表(給与法適用職員の例)】
区分1 - 指定職(6号俸以上) 95,400円
区分2 - 指定職(5号俸以下) 78,750円
区分3 - 行(一)10級 70,400円
区分4 - 行(一) 9級 65,000円
区分5 - 行(一) 8級 59,550円
区分6 - 行(一) 7級 54,150円
区分7 - 行(一) 6級 43,350円
区分8 - 行(一) 5級 32,500円
区分9 - 行(一) 4級 27,100円
区分10- 行(一) 3級 21,700円
区分11- その他の職員 0円
※ 勤続9年以下の自己都合退職者等は調整額が支給されない。また、勤続4年以下の退職者(自己都合退職者以外)及び勤続10年以上24年以下の自己都合退職者は調整額が半額になる。
要するに、“在職時の区分で、金額の多い60ヶ月分を退職金に上乗せしますよ“ということだね!
区分ごとの金額が決まっており、教諭はおそらく区分10の21,700円に該当しそうなのですが、様々なサイトを調べても、はっきりとした情報がなかったので、おそらくという形で進めさせてもらいます。
また、最後に書かれていますが、勤続9年以下での自己都合退職者には調整額が支給されず、勤続10年以上24年以下の自己都合退職者は、調整額が半額になることも記載されています。
なお、60ヶ月の計算にも除算規則があり、これもおそらくですが、勤続年数と同様の除算期間が適用されるようです。例えば、3年間休職があった場合は、60ヶ月から18ヶ月(3年間の2分の1)が除算されるという形です。
それでは、実際に、4要素を用いてどのように退職金を計算するか、シミュレーションしてみよう!
国家公務員の退職手当制度に記載されているように、退職金の計算は、
退職手当=基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続期間別支給割合)+調整額(※1円未満の端数は切り捨てます。)
で計算されます。
なお、退職理由別・勤続期間別支給割合は、以下の表を読み取ることになります。
【国家公務員退職手当支給率早見表】
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/h300101_taishoku.pdf
例えば、勤続年数15年、自己都合退職の場合、支給割合は10.3788になるということだね!
では、具体的な事例を元に、退職金を計算してみよう!
例①:勤続年数15年、退職時の標準報酬月額40万、自己都合退職のケース
※勤続年数15年の自己都合退職者は、調整額が半額に
退職手当=40万×10.3788+(21700÷2)×60ヶ月=4,151,520+651,000=4,802,520
となります。
例②:勤続年数20年、退職時の標準報酬月額45万、3年間の休職後、公務外傷病退職のケース
※調整額について、3年間の休職期間の2分の1(18ヶ月)を60ヶ月から除算
退職手当=45万×19.6695+21,700×(60-36÷2)=8,851,275+911,400=9,762,675
となります。
勤続年数、退職理由、退職時の標準報酬月額、調整額によって、退職金の金額が自動的に決定するね!
なお、上記の退職金計算を、自動的にやってくれるサイトがあるため、下記に紹介します。
【地方公務員 退職金計算システム】
https://keisan.casio.jp/exec/system/15481293317068#!
必要事項を入力すると、自動的に退職金の金額を算出してくれるため、自身の退職金金額の事前確認用に、大変重宝しました。
途中でやめても、しっかりと退職金がもらえる仕組みが出来上がっているので、有難いね!
教員の退職金は、世間一般的に高いの?安いの?という質問をよく耳にします。
ここまで、教員の退職金制度について解説してきましたが、おそらく多くの方が、民間企業と比べて、教員の退職金の金額が高いのか?ということも気になる点だと思います。
民間企業の中には、様々な形態の企業がありますが、ここでは、“大企業”と“中小企業”という2つの企業群に分けて、教員の退職金との相場比較をしていきたいと思います。
〇教員の退職金の相場
総務省のデータによると、公立学校の教員の定年退職金の相場は2,417万円となっています。
自治体や校種によっても異なり、自治体では、兵庫県の支給額が最多となっており、その金額は2,323万円です。次いで三重県の2,311万円、京都府の2,297万円となっています。ただし、2,000万円を下回る都道府県はありません。
校種では、小学校と中学校の退職金の相場が約2,200万円で、高校では約2,300万円となっており、校種で差があることがわかります。
なお、公立学校の教員の定年退職金の相場が2,417万円と前述しましたが、公立学校の教員には大学の教員も含まれるため、相場が2,417万円と高額になっています。
以下に、教員の退職金についての、参考サイトを添付します。
国家公務員の退職手当制度に準じて支給されるだけあり、教員の退職金の相場は、大変恵まれた状況にあると言えそうです。
〇大企業の退職金の相場
大卒者が大企業に勤めたときの、定年退職金の相場は、厚生労働省の調査によると、2,230万4,000円となっており、教員とほぼ同等の相場となっています。
大企業は、教員同様、しっかりとした退職金制度が確立されている可能性が高く、充実した状況があると言えそうです。
〇中小企業の退職金の相場
一方、大卒者が中小企業に勤めたときの、定年退職金の相場は、厚生労働省の調査によると、1,118万9,000円となっており、教員や大企業の半分程度となっています。
厚生労働省の調査結果によると、退職金制度を導入している民間企業は全体の約80%で、約20%の企業は退職金制度を導入していないということです。
従業員数が少ない企業ほど、退職金制度が存在しない傾向があることも判明しており、中小企業は、退職金制度がない可能性が大企業より高いと同時に、支給される金額も低いことが予想されます。
以下に、大企業と中小企業の退職金についての、参考サイトを添付します。
教員と大企業の退職金の相場はほぼ同じで、中小企業の2倍程度と言えそうだね!
教員として働いて退職しても、退職金が支給されないケースがあるので、注意してください!
教員として働けば、早期退職した場合でも、退職金が支給されることを解説してきました。
しかしながら、以下に述べるケースでは、退職金が支給されないため、注意が必要です。
【退職金が支給されない場合】
退職手当は、勤続報償、生活保障、賃金後払いの要素をそれぞれ有しているが、基本的には職員が長期間継続勤務して退職する場合の勤続報償としての要素が強いものと理解されており、国家公務員退職手当法(以下「退手法」といいます。)に基づいて支給されます。
ただし、次のいずれかに該当する場合には、退職手当の全部又は一部が支給されないか、支給後であっても返納を求めることができるとされています。
ア 懲戒免職等処分を受けて退職した場合(退手法第12条第1項第1号)
イ 失職した場合(同法第12条第1項第2号)
ウ 在職期間中の非違行為に係る刑事事件に関し、退職後に禁錮以上の刑に処せられた場合(同法第14条、第15条及び第17条)
※ 支給後に禁錮以上の刑に処せられた後、返納を求められる前に死亡したときは、相続人に対して返納を求められることがあります。
エ 退職後に、在職期間中の非違行為が発覚し、それが懲戒免職等処分相当の行為であると認められた場合(同法第14条から第17条まで)
※すでに職員が死亡しているときには、遺族等に対して支給がされないか返納が求められることがあります。
また、職員が死亡した場合で次に該当する遺族は、退職手当を受け取ることができません。
・職員を故意に死亡させた者(同法第2条の2第4項第1号)
・職員の死亡前に、当該職員の死亡によって退職手当の支給を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者(同法第2条の2第4項第2号)
支給されない場合が、法的にしっかりと明記されているんだね!
上記を一読すると、“懲戒免職での退職は、退職金がもらえない“ということ分かります。
私が教員として勤務していた頃、懲戒免職で退職した方も何人かおりました。
何年も勉強して教員養成大学に入学し、苦労して教員免許を取得し、必死の思いで教員採用試験に合格し、激務の中、教員として何年も働いたにも関わらず、退職金を一銭ももらえなかったんだな…と、とても不憫な気持ちになります。
現在教員として勤務している方は、懲戒免職にだけはならず、いかなる場合でも、相応の退職金が支給されることを願っています。
本記事では、教員の退職金について、実際に教員として約15年間勤務した筆者の経験を元に、解説してきました。
公立学校の教員には、しっかりとした退職金制度が確立されており、基本的には、国家公務員の退職手当制度に準じた内容になっています。
退職金の金額は、退職までの勤続年数、退職理由、退職時の標準報酬月額、調整額の4要素によって決定し、
退職手当=基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続期間別支給割合)+調整額
の計算式で算出されます。
退職理由別・勤続期間別支給割合については、以下の資料を参考にしてください。
【国家公務員退職手当支給率早見表】
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/h300101_taishoku.pdf
また、調整額は、退職時までの貢献度に対して、退職金が上乗せされる金額というイメージのもので、自分の身分に該当する金額で、金額の高い60ヶ月分の金額が支払われます。
なお、勤続年数のカウントや調整額の計算をする際に、途中、休職などをしていた場合には、除算期間が出てくるため、注意してください。
公立学校の教員(地方公務員)の退職金計算を、自動的に行ってくれるサイトも存在しているため、以下に紹介します。
【地方公務員 退職金計算システム】
https://keisan.casio.jp/exec/system/15481293317068#!
教員の退職金の相場は、大企業の退職金の相場と同等程度で、中小企業の退職金の相場の2倍程度になっているといえそうです。
終身雇用が崩れかけている昨今、退職金制度がしっかりと確立されていて、早期退職をした場合でも、必ず一定の金額がもらえるという事実は、大変恵まれているのではないでしょうか。
しかしながら、懲戒免職などになった場合は、一切退職金が受け取れないため、注意が必要です。
うつ病などの病気になっての退職は問題ありませんが、犯罪行為などをすると、全て水の泡に消えてしまうため、悪い行いは、自分のためにも、家族のためにも、絶対にしないようにしましょう。
懲戒免職だけには、絶対になりたくないね!
私自身、休職中に、初めて退職金制度の存在を知り、知識を得る形となりました。
もっと早くから退職金制度の知識があれば、戦略的に勤務できていたため、後悔しています。
教員として現在勤務している方は、勤務する年数が長くなればなるほど、退職手当制度で受けられる恩恵は確実に増えていくため、“教員として勤務する日は無駄にならない”ということを常に頭に入れておいてください。
この記事を読んだ方が、教員の退職金についての正確な知識を身に付け、より良い人生設計につなげてくれたら幸いです。
それでは、最後まで本記事を読んでくださり、ありがとうございました。クロヒョウ先生@Webライターでした!
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